幼保無償化、サンタナ学園独自の努力では限界
幼保無償化、サンタナ学園独自の努力では限界
猶予期間が迫るなか、知事に協力、支援を要請しました。
幼保無償化制度が始まっています。この制度は子育て環境の改善、前進につながり、社会インフラのひとつとして今後、ますます重要度が増していくと考えられます。制度の適用にあたっては認可外保育所も対象に加えられ、サンタナ学園の保育部門も支援が受けられることになりました。この無償化に基づく支援は現在のサンタナ学園の運営に大きな糧となっています。一方、認可外保育所への適用は5年の猶予期間となっており、その間に認可保育園への移行を促していくというものです。ところが、その期間がそろそろ終わろうとしています。期限は23年度末。今年11月の滋賀県庁の監査を通して、もし認可基準に届いていないと評価されてしまうと保育無償化適用は次年度以降、ストップしてしまいます。
サンタナ学園ではこの間、無償化適用を続けてもらうために、日本人職員を雇い、職員の配置に工夫を加えたり、健康診断をしてもらえる医師を探したり、書類を正しい様式で準備するなどの、できる努力を傾けてきました。しかし、もっとも困難なことはやはり保育士の確保です。保育士の確保は、認可外保育の中でもさらに脆弱な運営を続けているサンタナ学園のような保育施設では給与水準が低く、人材確保は本当に困難です。そもそも全国的に保育士確保が課題となっている中で、ボランティア・ベースの人材確保は本当に難しい状況です。
この危機的な状況を訴え、サンタナ学園の子ども、そして県内で同様にブラジルをはじめ外国につながる子どもたちの保育を担当している日本ラチーノ学院やサントスデュモン学院の思いも汲んで、1月31日に三日月大造知事と面談し、要望書を提出してきました。面談に臨んだのは、NPO法人コレジオ・サンタナの梅田満壽雄代表理事、河かおる理事ら3人。県庁知事室と約30分面談し、具体的な要望事項を伝えることができました。
私たちはか無償化適用除外が迫っているサンタナをはじめとした3施設への行政支援が必要であるということ、子どもたちの健康診断への経費軽減、文部科学省所管のスポーツ保険適用への要請、フリースクールの支援制度を創設してブラジル学校もその対象に加えることなどを要請しました。県内に無償化の対象となる3歳から5歳の外国籍児童はおおむね600人います。そのうち3施設に通うのは約100人。この子どもたちは母語がポルトガル語、中国語、ベトナム語などであり、多くが非正規で労働時間が長く、低賃金で働く親のもとで生活しています。サンタナ学園の例をとってみても、早朝から通園し、朝食から夕食までを食べるほか、母語による保護者の相談業務など、他の施設にはできない特殊な保育ニーズに対応しています。そうした点を説明したうえで、知事に要請を行いました。
知事はサンタナ学園をはじめ、県内のブラジル学校の役割は大きいとされ、そこに保育施設が併設されていることも大切だと言及され、知事会での議論の中でもぜひ議論を深めたいと応じてくれました。知事は終始、こちらの要望をメモに取りながら意見を聞き取り、ときおり同席した担当課のスタッフに事情を確かめるなど、具体的な支援の在り方について問題意識を共有してくださいました。
すぐに答えの出ない課題ばかりですが、現場での地道な活動を背景に、ブラジル学校の役割を教育保育の側面から発信することはとても大事なことです。今回の知事との面談は、滋賀県議会の公明党所属の中村才次郎県議、清水ひとみ県議が仲介、調整してくださり、公明党会派では、政策課題として議会で取り上げてくださっています。また、知事面談にはサンタナ学園のある愛荘町選出で自民党の本田秀樹県議も同席してくださいました。
0コメント