赤い羽根2022−2023事業報告


2022年10月から2023年9月までの期間、「外国にルーツがある人々への支援活動応援助成第3回」の助成金を活用し、「withコロナ サンタナ学園存続のための活動 」をおこないました。


事業の概要(目的と解決したい課題)

家庭で話す言語であるポルトガル語で保育·教育を行い、安心していられるサンタナ学園の代わりは、日本の保育園や学校にはできません。必要とされているからこそ、20年以上も続いて来ました。

私たちは、たとえ子どもたちの保護者がコロナ不況の影響で収入を断たれ、月謝が払えなくなっても、サンタナ学園に通い続けられるように、かならず子どもたちの育ちと学びの場を守っていきたいと考えています。そのためには、各種助成制度の利用や地方自治体への働きかけ、日本の市民社会や企業等に実情を知らせて寄附を募るなど、学園単独ではできない活動に、私たちがより積極的に取り組む必要があります。

目前のピンチを切り抜けるための活動だけでなく、より中長期的にどのようにすれば持続可能になるのかについても共に検討していく必要があります。具体的には、保育の部分については認可保育所になることや、義務教育の部分については教育機会確保法に基づいてフリースクールとして公的助成を受けられるような制度の構築などが考えられます。こうしたことについて、積極的に情報収集をし、行政とも意見交換を進めていきたいです。

情勢が刻々と変化する中、withコロナで学園を存続させるための各種事業をその時の状況に合わせ、継続的に推進するためにも、サポート活動に要する人件費を確保する必要があります。

本事業では、①存続資金のための募金活動、②多文化共生・国際理解活動、③幼保無償化制度等行政との架け橋、④子どもの社会教育や健康診断の実施、そして⑤広報活動をおこないました。

①では、クラウドファンディング(https://congrant.com/project/nposantana/6312)、マンスリー寄付の設置、日々の募金活動を行い500万円以上のご寄付を頂戴いたしました。

②では、地域や学校等の人権・多文化共生の講演依頼を受けました。またサンタナ学園の見学会や第4回になる国際交流こども絵画展を企画。社協等他団体とも協働し多文化共生・国際理解の活動の輪が広がりました。

③では、外国にルーツを持つ子どもたちの教育や健康を守るために滋賀県庁や市役所・役場、議員の方々ともお話しする機会を増やし、制度的な課題や改善を話し合いました。また幼保無償化制度ではサンタナ学園の先生に代わり事務業務を行いました。

④では、県の助成金を使いポルトガル語での健康診断や相談、情報発信基地づくりや保育園児とその保護者を対象にしたプレスクール事業、中高生向けの社会とつながるためのアートプロジェクト等を行いました。

⑤では、HP、Facebook、InstagramなどSNS上での活動報告と協力要請、ジャーナリストや新聞社への情報提供や取材受け入れ、TVやラジオ、ポットキャスト等の出演をおこない、事業の周知をおこないました。


本助成による事業の成果と今後の課題と取り組み

 コロナ禍でいくつものブラジル学校が閉鎖となる中、本助成を得たことで専属職員を常任させることができ、さまざま事業や情報発信、他団体との協働が可能となりました。それによりたくさんの方々にご支援頂き、サンタナ学園が継続できています。

サンタナ学園の継続はイコール子どもたちの笑顔と育ち・学びの継続でもあり、その先には子どもたちの保護者が安心して働ける環境づくりにも繋がっています。

 コロナ禍が落ち着いたのも束の間、物価上昇や増税の影響を受け節約しても減る一方の資金、円安や外国人労働者の法律改正等の影響で生徒数が減少、保育園の幼保無償化制度の対象問題によりサンタナ学園の運営状況はさらに厳しい状況に立たされています。現状維持と改善の二輪を同時進行で進めてきましたが、大きな変化を起こすことは出来ませんでした。

 今後の課題は、教育・福祉、日本人住民・外国人住民、民間・行政と多種多様な人・団体と教育・健康・交流等の取り組みを協働することでできたネットワークを活かし、新たなサンタナ学園のブランディングを行い、新たなサンタナ学園のあり方とその仕組みづくりを行うことです。

 その1つとして、日本の学校への就学や転校は、子どもが今後日本で生きて行くことを考えれば、当然、子どもにとって望ましい選択肢の一つであり、今後こうしたサポート活動を強化していきたいと考えています。しかし月謝と寄附以外に収入のないサンタナ学園の運営を考えれば、日本の学校への就学や転校を積極的に推進することと学園の存続とは矛盾します。すなわちNPO法人コレジオ・サンタナが、日本の学校への就学・転校がスムーズに行くようにサポートすればするほど、学園の運営が立ちゆかなくなり、存続できないという矛盾が生じる。そこで解決したい課題は、この矛盾をいかに解消し、サンタナ学園が日本の学校と連携しながら存続し、外国ルーツの子どもたちに寄り添った環境が維持されるようにするか、です。具体的にはフリースクールとプレスクールの2事業の実施です。


最後に

サンタナ学園およびNPOコレジオ・サンタナの事業をご支援頂き、心から感謝申し上げます。現在在留外国人数は322万人となり様々地域で暮らしていますが、まだまだ外国人住民への理解が十二分ではありません。NPO法人コレジオ・サンタナは、国際交流・相互理解の場の提供を図り、すべての子どもたちが健やかに育ち学べる環境を支援し、多文化共生社会を推進できるよう活動してゆきます。引き続き見守って頂けますようお願い申し上げます。



NPO ColégioSant'Ana

NPO法人コレジオ・サンタナ nposantana@gmail.com

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